リハビリに予約システムは必要?整形外科での運用例や機能を解説
- 2024年8月29日
- 診療予約システム
整形外科では、診察や各種検査に加えて、リハビリの予約管理が求められます。複数のスタッフが関与するため、予約管理が煩雑化しやすく、業務を圧迫してしまうことも少なくありません。
診察予約に加えてリハビリ予約を効率化するためには、診療予約システムの導入がおすすめです。しかし、「リハビリ予約を効率化できるのか」「実際に役立つのか」などと、システム導入にお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、整形外科でのリハビリ予約を効率化する予約システムについて、運用例や機能について解説します。
リハビリ予約について整形外科が抱える主な課題
リハビリ予約に関して、整形外科ではどのような課題を抱えやすいのでしょうか。代表的な3つを解説します。
1.急患とリハビリの予約調整が難しい
整形外科には、リハビリ目的で通院する患者だけでなく、骨折やねんざなどの急患も来院します。定期的に通院する患者と飛び込みで来院する患者とが混在しており、柔軟な対応が求められます。
特に、リハビリ目的で通院する患者の予約枠を確保しつつ、急患対応も可能な体制が必要です。どちらの患者を優先的に受け入れるのか、どの枠を調整するのかなどをスタッフが判断しづらく、負担が増大しやすいでしょう。
2.リハビリスタッフのスケジュール管理が煩雑
整形外科は、理学療法士や作業療法士などの多職種が働く診療科です。医師予約だけでなく、リハビリ専門職の予約枠を考慮したスケジュール管理が求められます。しかし、診察とリハビリの予約を調整するのはやや煩雑化しやすいでしょう。
例えば、診察予約の枠に空きがあっても担当のリハビリスタッフの予約枠が埋まっているなど、ミスマッチが生じる場合があります。診察もリハビリも同日に予約する患者が多いため、スケジュール調整が手間となりやすいでしょう。
3.高齢患者が多くWeb予約が浸透しにくい
整形外科は、高齢患者の割合が多いことが特徴です。そのため、電話予約や受付での予約の方が慣れており、Web予約が浸透しにくいことがあります。「導入しても電話で予約する患者が多かった」など、利用率が上がらずシステム化を断念するクリニックも少なくありません。
高齢患者が安心して使えるよう、導入後に丁寧に説明するなど浸透させるための努力が必要となります。結果的にスタッフの負担が増大してしまい、業務効率化に至らない可能性もあるでしょう。
リハビリの予約管理を改善するシステムの機能
煩雑化しやすいリハビリの予約管理ですが、予約システムを導入することで、業務効率化や患者満足度の向上につながります。具体的にはどのような機能があるのでしょうか。
1.オンライン受付予約
Web上で、24時間どこでも予約ができる機能です。時間帯別の予約や順番予約など、自院の特徴に合わせた予約方法を導入できるため、柔軟な対応がしやすいでしょう。また、LINE予約やポータルサイト、自院のホームページなど、患者が予約しやすい方法も選べます。
医師やリハビリスタッフ別で予約状況が把握できるため、患者が自分で調整しながら予約を取得できます。スタッフも一目で予約状況がわかるため、確認の手間が少なくなるでしょう。
2.リマインド機能
来院前日にメールやLINEなどでメッセージを送信できるリマインド機能があります。来院忘れや無断キャンセルを防止できます。
キャンセルが発生すると、本来の予約枠分の機会損失が生じます。特に、リハビリのキャンセルは、診察に比べてスタッフの手待ち時間が多くなりがちです。機会損失を防ぐためにも、リマインド機能が必要です。
3.カルテ連携
患者情報をカルテと連携し、一元管理ができる機能です。予約システムと連携することで、予約時に取得した情報がそのままカルテと紐づけられ、情報管理がしやすくなります。自動的にカルテに反映されるため、入力ミスの防止にもつながります。
4.自動音声応答システム(IVR)
IVRは、電話での問い合わせに「〇〇のお問い合わせは、◻︎番を押してください」というアナウンスで案内できるシステムです。自動音声で24時間対応可能です。
Web予約方法がわからない場合や、電話で予約を取りたい患者に自動的に対応できます。高齢患者に対するサービス向上と、スタッフの業務負担の軽減につながります。
5.データ分析
来院数や患者のキャンセル傾向、リハビリスタッフの稼働率を分析する機能です。キャンセル傾向を分析することで、機会損失につながっている要因を把握し、改善に生かすことが可能です。
また、リハビリスタッフの稼働率が把握できれば、予約枠運用の適正化や業務の質改善につながります。スタッフ間の稼働率のばらつきが明確になり、背景にある原因についてさらに分析できるでしょう。例えば、「予約枠を柔軟に調整できていない」「スタッフの説明不足で継続予約に至っていない」などの要因が考えられます。
予約状況を正しく分析し、改善に生かしていくため、データ分析機能が重要となります。
リハビリに予約システムを導入するメリット
リハビリ予約をシステム化するメリットは、主に3つが挙げられます。
1.予約の偏りを減らして業務効率化できる
予約をシステム上で管理することで、予約を平準化でき、効率的に業務を進められます。整形外科では、高齢患者は午前中、スポーツ整形などを受ける学生は夕方など、特定の時間帯に来院が集中しやすいでしょう。
予約システムの導入により、クリニック側だけでなく患者側も予約状況が把握できるため、患者が混雑を避けて来院するようになります。スタッフも、一目で見て予約状況がわかるため、時間管理がしやすくなり、予約が偏ることが少なくなるでしょう。
特定の時間帯に来院が集中すると、スタッフの時間外労働や過重労働につながりかねません。業務負担を軽減し、スタッフがいきいきと働くためにも、予約システムの導入が必要です。
2.混雑解消によって患者満足度が向上する
患者自身が自発的に混雑を避けて来院してくれるため、待合室の混雑が解消されます。待ち時間によるストレスが軽減され、患者の満足度が向上するでしょう。
特に、予約状況が可視化されているため、患者の予約形態に合わせて診察順や時間枠を調整できます。例えば、空いている時間帯に急患を入れる、リハビリ患者よりも診察のみ患者を優先するなど、優先度を柔軟に調整しながら対応できます。
「急患が1時間以上待つ」「診察だけなのに長時間待たされる」という事態の防止につながり、満足度に影響するでしょう。
3.スタッフの予約状況の把握がシンプルになる
医師だけでなく専門スタッフの予約状況も一目でわかるようになり、管理しやすくなります。例えば、患者がリハビリと診察の予約を取りたいと希望した場合、電話予約なら双方の予約状況を確認する必要があるでしょう。診察は予約可能でも、担当のリハビリスタッフに空きがないなどミスマッチが生じる可能性もあります。
予約状況が一目でわかると、管理しやすくなり、ダブルブッキングや予約のタイミングが遅れるといったことが生じにくくなります。
整形外科での予約システム運用例
実際の整形外科では、どのようにして予約システムを運用するとよいのでしょうか。4つの運用例を紹介します。
1.予約方法の使い分けでハイブリッド運用
リハビリと診察をセットで受ける患者が多い場合、時間帯や順番の調整が難しい場合があります。そういったケースでは、順番予約と時間帯予約をうまく使い分けるとよいでしょう。
リハビリは、治療時間の見通しが立っており、おおむね予約通りに進むため、時間帯予約が適しています。診察は患者の特性によって、順番予約か時間帯予約を使い分けるとよいです。
順番予約の方がなじみのある患者が多い場合は、診察のみ順番予約にしましょう。診察のみの患者は順番予約で行い、セットで受診する患者には番号を振らないようにします。リハビリが終わり次第、診察室に呼び込むといった流れで進めます。
しかし、順番待ちをしている患者からすると、「前の順番に割り込まれた」と感じる恐れがあるでしょう。リハビリを受ける患者の割合が多い場合、患者のクレームにつながりかねません。
もし、リハビリとセットで受ける患者の方が多い場合は、診察のみの患者も時間帯予約にして調整します。例えば、以下のようにリハビリの時間帯に隣接する枠に予約を取るようにするなどの工夫が必要です。
- リハビリ予約:10時~
- 診察予約:10時半~
患者の来院傾向や予約形態に合わせて、順番予約と時間帯予約を使い分けましょう。
関連記事:クリニックの順番受付システムとは?メリットと導入上の注意点を解説
2.自動応答システムで問い合わせに対応
高齢患者にとっては、Webで事前に予約するという流れに抵抗がある方も多いでしょう。そのため、電話での問い合わせが増加し、かえってスタッフの業務負担が増大するケースも少なくありません。
そのため、予約方法の周知に関するフォローを手厚くしておく必要があります。自動音声応答システム(IVR)を導入し、自動的に対応可能なようにしておくとよいでしょう。
ただし、自動音声応答システムを運用する際には、正しいシナリオ設定が重要です。選択肢や段階が複雑化すると音声ガイダンスの時間が長くなり、不満につながります。また、回答が不明確であると、結局電話での問い合わせが増えてしまう可能性もあるため、注意しましょう。
3.リハビリスタッフの直接指名
予約システムによっては、リハビリスタッフを直接指名して予約できる場合もあります。
相性や応対のよいスタッフを選べて、同じ担当者が継続的にフォローすれば治療効果も上がり、患者満足度が向上するでしょう。特に、「電話だと指名しにくい」というケースもあるため、Webを通して指名予約ができるメリットは大きいといえます。
スタッフの稼働率分析も合わせて導入すると、スタッフ同士の競争意識が高まりモチベーション向上につながるでしょう。稼働率の高いスタッフの行動パターンや応対を共有することで、スタッフの質向上にもなります。
4.チェアサイド予約でリハビリ再来率向上
予約システムによっては、リハビリスタッフ自身が予約を取得し、時間枠をコントロールできる機能もあります。リハビリ時にチェアサイドで予約が取得できるため、患者にとっては手間が少なくなります。
また、治療継続には、スタッフからの説明が重要です。治療の見通しや進捗状況などを丁寧に説明しながら予約を取得することで、キャンセル率の低下や再来率の向上につながるでしょう。
高齢者も使いやすい予約システムを導入しましょう
整形外科でのリハビリ予約は、関係するスタッフの数が多くなり、予約形態が複雑であるため、調整が難しい場合があります。予約システムの導入により、予約状況を可視化でき、柔軟に対応することが可能となります。
整形外科にとっては、ボリューム層である高齢患者に配慮したシステム導入が重要です。高齢患者に優しいシステム設計でないと、導入が円滑に進みにくいでしょう。
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著者PROFILE
- 医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、診療予約システムやクリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。
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