【例文あり】クリニックの電話対応マニュアルと予約効率化の方法を紹介
- 2025年2月13日
- 診療予約システム
クリニックの電話対応は、自院の印象に大きく影響するサービスの一つです。「予約対応がスムーズ」「親身に対応してくれる」など、患者からよい印象をもってもらえるとクリニックの評価も高まるでしょう。
本記事では、クリニックの電話対応マニュアルを具体的な例文をもとに紹介します。スタッフへの教育や予約業務を効率化する手法も解説しています。「電話対応の品質を高めつつ、業務負担も軽減させたい」と考える方はぜひ参考にしてみてください。
クリニックの電話対応で生じがちな3つの課題
クリニックの医療事務スタッフが直面しがちな電話対応での課題として、以下の3つが挙げられます。
- 問合せの増大で他の業務が圧迫される
- 医療事務スタッフ間でサービスの質にばらつきがある
- トラブルやクレーム、訴えに対するストレスが大きい
1.問合せの増大で他の業務が圧迫される
特に午前中に集中する予約受付や問い合わせにより、窓口対応業務に支障をきたすことがあります。新規患者の予約や変更対応には、複数の確認事項があり、時間がかかりやすいでしょう。
2.医療事務スタッフ間でサービスの質にばらつきがある
スタッフの経験やスキルによって、電話対応の質にばらつきが生じる場合があります。特に、新人スタッフは、電話でのコミュニケーションに不慣れなことが多く、うまく対応できないことがあるでしょう。
薬局や業者からの問合せなど、医療に関する電話も日常的に生じるため、多様な対応が求められます。
3.トラブルやクレーム、訴えに対するストレスが大きい
電話をかけてくる患者は不安を抱えていることが多く、特に具合の悪い患者に対しては、より親身な対応が求められます。その他にも、予約トラブル、クレーム処理などによる精神的負担が大きく、スタッフのストレスが増大しやすいでしょう。
患者満足度を高める電話対応の具体例【例文つき】
患者に満足してもらえるためには、どのような電話対応を意識するとよいのでしょうか。以下の4つの場面別に、例文つきで解説します。
- 基本的な電話対応
- 予約の問合せ
- 症状に関する問合せ
- クレーム対応
1.基本的な電話対応
クリニックの電話応対の基本は、丁寧さと正確さです。以下のような流れで対応するとよいでしょう。
【電話がかかってきたとき】
- 3コール以内に出て、「はい、○○クリニックでございます」と明るく応対
- 間に合わなければ「大変お待たせいたしました」と出る
- 朝には「おはようございます」を付け加えると好印象
- 「○○さん、こんにちは。本日はどうされましたか?」と要件を尋ねる
- 聞こえにくい場合は「お電話が遠いようですので…」と断って聞き直す
【電話を切るとき】
- 「お電話いただきまして、ありがとうございました」と感謝を伝える
- 患者からの問合せの場合、切れたことを確認してから切る
【電話をかけるとき】
- 「○○クリニック受付の△△です」と礼儀正しく挨拶する
- 「先日ご来院いただいた件でご連絡いたしました。次回のご予約について少しお時間いただけますか?」と用件を明確に伝え、相手の都合を気遣う
2.予約の問合せ
予約の問合せがあったら、以下のように必要事項を丁寧に確認しましょう。症状を確認する際には、ドライな印象を与えないよう、具合の悪さに共感を示すことが大切です。
やりとり例
患者:初めて受診したいのですが、予約は可能でしょうか。
スタッフ:はい、初診のご予約を承ります。お名前をフルネームでお願いできますでしょうか。
患者:山田花子です。
スタッフ:山田花子様ですね。ご連絡先の電話番号をお願いいたします。
(電話番号を確認後)
差し支えなければ、どのような症状でしょうか。
患者:咳が1週間ほど続いていて…
スタッフ:それはおつらい状況ですね…。最短で本日の午前11時にご案内できますが、いかがでしょうか。
患者:はい、お願いします。
スタッフ:では、本日午前11時に山田花子様のご予約を承りました。初診の方は、保険証と問診票のご記入がございますので、10分前までにお越しください。ご予約の時間に遅れそうな場合は、お電話にてご連絡をお願いいたします。
3.症状に関する問合せ
「熱が下がらない」などの症状に関する問合せは、医師に確認が必要です。スムーズに確認できるよう、患者の状態に共感しつつ、正確な情報を聞き取ることが大切です。
やりとり例
患者:今日の午前中に診察を受けた佐藤と申しますが、処方された薬を飲んでも熱が下がらないのですが…
スタッフ:そうですか…それはおつらいですね。現在の体温は何度でしょうか。
患者:38.5度あります。
スタッフ:承知いたしました。担当医に確認させていただきますので、少々お待ちいただけますでしょうか。
(医師に確認後)
お待たせいたしました。担当医に確認いたしましたところ、このまま様子を見ていただき、明日も38度以上の熱が続く場合は、再度ご来院いただきたいとのことです。ただし、今晩呼吸が苦しくなるなど症状が急変した場合は、すぐにご連絡ください。
4.クレーム対応
「待ち時間が長い」「処方された薬が間違っている」など、患者からクレームの電話が入るケースもあります。不快な気持ちにさせたことへの謝罪をし、対策の見通しを伝えることが大切です。
やりとり例
患者:先日予約して行ったのに、1時間も待たされました。予約の意味がないじゃないですか。
スタッフ:大変申し訳ございません。ご来院いただいた日時とお名前を教えていただけますでしょうか。
患者:昨日の10時の予約で行きました。田中です。
スタッフ:田中様、昨日は大変お待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。急患の患者様の対応が入り、診察が大幅に遅れてしまいました。待ち時間の見込みのご案内が遅くなり、ご不快な思いをおかけいたしました。
患者:待ち時間が長いのは仕方ないとしても、説明が遅かったですよ。次回からは早めに教えてほしいです。
スタッフ:ご指摘ありがとうございます。今後は待ち時間の見込みを早めにご案内させていただきます。この度は大変申し訳ございませんでした。
関連記事:病院の待ち時間が長いとクレームになる?時間削減とクレーム対策を解説
医療事務スタッフの電話応対力を高めるポイント
スタッフの電話対応力を高めるためには、次の2つのポイントが大切です。
- 電話対応マニュアルを統一する
- スタッフの精神的負担に配慮する
1.電話対応マニュアルを統一する
マニュアルを統一することで、スタッフの対応力にばらつきが生じることを防ぎます。予約受付から症状の相談、クレーム対応まで、状況別の対応手順をマニュアル化するとよいでしょう。特に、よくある質問と回答例、緊急時の対応フローを明確にし、定期的な見直しも実施します。
チェックリストやマニュアルとして書式化し、受付に置いておくなど、いつでも確認できる形で共有するとよいでしょう。
2.スタッフの精神的負担に配慮する
不安を抱える患者への対応や、相手の表情が見えない中で電話対応するのは、心理的な負担が大きいといえます。うまく対応できなかったスタッフが「自分が悪かったのか…」などと自分を責め、最悪の場合離職につながる可能性があります。
不満やストレスを一人で抱え込まないよう、スタッフ同士でメンタルケアができる体制をつくりましょう。例えば、対応が難しいケースをミーティングで話しあう機会をもつことで、クリニック全体で対応策を考えられるようになります。
対応によって生じるストレスをケアできるような育成で、風通しのよい職場を築いていきましょう。
電話対応の負担を軽減する2つの方法
電話対応の質を高めるためには、医療事務スタッフの余裕も必要です。予約の取得や症状の問合せなど、定型化できるものは自動化し、スタッフの負担を軽減することで、さらなる対応の質向上が見込まれます。
電話対応の負担を軽減する方法としては、診療予約システムと電話自動応答(IVR)の導入が挙げられます。
1.診療予約システム
診療予約システムとは、Webから24時間どこでも予約が可能なシステムです。診察時間外でも予約の取得や日時変更、キャンセルが可能です。そのため、予約に関する問合せが減り、業務負担軽減につながるでしょう。
さらに、クリニック側で予約状況が一目で確認できるため、予約枠の管理もしやすくなります。
2.電話自動応答(IVR)
患者から電話がかかってきた際、音声ガイダンスで用件に応じて自動応答できるシステムです。例えば、「予約の方は1を」「症状に関するお問合せは2を」などと振り分けられます。
予約の問合せの場合、予約希望の日時を番号入力してもらうことで、予約が可能です。録音した音声で自動的に対応できるため、患者と直接対応する手間が省けます。
予約システムの活用で電話対応の質と効率性を向上させましょう
クリニックの電話対応は、具体的な事例をもとにしてマニュアルをスタッフ間に共有することで、質を高められます。ただし、対応するスタッフに心の余裕がなければ、いくらスキルの向上を図っても限界があるでしょう。
電話対応に関するストレスを軽減できる体制に加え、予約業務の効率化に取り組むことで、働きやすいクリニックづくりも重要です。
弊社が提供する「MEDICALPASS」は、誰にとっても「使いやすい」と感じられるシンプルな予約システムです。電話自動応答はもちろん、LINE予約や予約リマインドなど、予約管理を効率化できる機能が充実しています。予約管理にお困りの方は、ぜひご相談ください。
著者PROFILE

- スマートクリニック事業推進室長
- 医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、診療予約システムやクリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。
最新の投稿
診療予約システム2025年2月13日【例文あり】クリニックの電話対応マニュアルと予約効率化の方法を紹介
診療予約システム2025年1月17日クリニックでのLINE公式アカウント活用方法は?導入の流れも解説
診療予約システム2024年12月27日電子カルテと診療予約システムの連動は必要?導入前のポイントを解説
診療予約システム2024年11月5日【クリニック向け】WEB予約を増やすにはホームページが重要?